市民座談会 「情報共有」に向けて初の試み (2015.11)

サイエンスカフェねりまは平成27(2015)年11月、「みんなでまもろう、三宝寺池!」と題して、 初めて市民座談会を開催しました。
日頃から三宝寺池に親しみ、安らぎを求めている市民の皆さんは、年月を経て移りゆく池の自然環境や生き物についても、多くの関心を寄せています。
また、「私たちの宝はこの先どう保全されていくのか」と心配する人たちも少なくありません。
一方、行政は、昭和末期までに激減してしまった天然記念物の沼沢植物群落について、平成5(1993)年に「保全基本計画」(目標は昭和30年代の状態に復元すること)を策定し、翌年から復元・保全事業に着手しました。
同事業は今日まで地道に継続されています。そうした事業の内容や成果の情報は、果たして市民の皆さんに浸透し、充分理解されているだろうか。この疑問が今回の市民座談会企画のきっかけです。

保全に関わられている専門家の方々と市民の皆さんを結んで一堂に会し、情報を共有し、意見交換する場を設けることが開催の趣旨でした。

座談会当日はまず基調報告として、文化庁出身の品田穣氏(保全基本計画策定時委員長)と大場達之氏(元千葉県立中央博物館副館長)に保全基本計画の骨子をご説明いただき、続いて保全事業を実際に担当されてきた趙賢一氏(㈱愛植物設計事務所社長)から、具体的な内容と成果について伺いました。

質疑応答に移り、参加者からは突っ込んだ質問や意見が相次ぎました。復元目標年代が昭和30年代であることへの疑念、湧水が豊富であった状態に本当に戻せるのか、水源や水質は大丈夫か等々、さらには対策資金に触れる声も聞かれたのです。
また沼沢植物群落の復元・保全だけでなく、昆虫類や野鳥の保護の必要性、外来種除去など、豊かな動植物の生息環境づくりを求める意見が出ました。
時間が限られていたため、今回の座談会で充分意見交換ができたとは言えません。三宝寺池とその周辺環境がどのような状態で維持できればよいのか、今回同様、専門家の方々を交えて対話を重ねる重要性を痛感しました。今後も市民の皆さんとともに「三宝寺池をまもる」活動を進めていきます。 (佐々岡忠男代表 文)